ディレクターとして長年人に仕事を依頼する立場にあった著者は、AIツールの活用により、構想から実装まで自ら手がけられるようになった。
私は長年様々な種類の”ディレクター”をやってきた。
AIと一緒に手を動かすようになって、
自分のことを「クリエイター」と言えるようになった。
それまでずっと、言えなかった。
人にお願いする仕事
ディレクターという仕事は、基本的に人にお願いする仕事だ。
デザインはデザイナーに、コードはエンジニアに、
コピーはライターに頼む。
私の仕事は「何を作るか」を決めて、つなぐことだった。
ものづくりが好きでこの仕事を選んだのに、
自分の手からは何も生まれない。そういう感覚がずっとあった。「ディレクターです」と名乗るとき、
どこかに後ろめたさがあった。作ってるのは私じゃない、という感覚。
クリエイターを名乗るのは、
実際に手を動かしている人の特権だと思っていた。
手を動かす、という感覚が戻ってきた
AIに頼むと、構想がそのまま形になる。
「こういうランディングページを作りたい」と話すと、
たたきが返ってくる。
「コピーをもう少し直球にして」と言えば、
その場で書き直す。デザインも、コードも、
文章も、自分で粒度を決めて手を入れられる。
人に頼んでいた頃の、伝言ゲームの遅さがない。
仕様書を書いて、レビューして、修正依頼を投げて、待つ。
あの長い時間が、ほとんどゼロになった。
ものを作る速度より大事なのは、ものを「作っている」という感覚だと思う。
自分の判断が、その瞬間に出力に反映されていく。手から離れない。
肩書きの中身が変わった
今は、迷わず「クリエイター」と言える。
肩書きは変わっていない。ディレクターのままだ。
ただ、その中身が変わった。
何を作るか考える人と、つくる人。
それが同じ人間になった。
AIは私たちを置き換える存在ではなく、
私たちの手を増やしてくれる存在だ。
少なくとも、私はそう感じている。