リスティング広告の外注先選定に際し、提案内容の違いが判然とせず、社内知見の欠落から丸投げを余儀なくされていた。しかしAIの登場により、専門知識なしで広告運用の実務に携わることが可能となった。
上司から「リスティング広告をやれ」と言われた。代理店3社から提案を受けた。違いが分からなかった。社内に知見がない。丸投げするしかない。そう思った瞬間、何かが間違っている気がした。
提案書は、全部同じに見えた。
3社から届いた提案書を並べた。どれも30ページを超えている。運用体制、レポート体制、過去の実績。書いてあることは、ほとんど同じだった。
違うのは月額の手数料と、担当者の肩書きくらい。どれを選べばいいのか、判断する材料がない。社内には広告の知識を持つ人がいない。だから、選ぶ基準も持てなかった。
結局、「お任せします」と言うしかない。それが普通だと思っていた。
任せた瞬間、見えなくなるもの。
代理店に任せると、中身が見えなくなる。
レポートは毎月届く。クリック数、インプレッション数、コンバージョン数。数字は並んでいる。でも、なぜその数字になったのかは、書いていない。
「今月はCPAが改善しました」と報告される。何を変えたのか聞くと、「キーワードの入札調整と広告文の最適化です」と返ってくる。それ以上は、聞けない。聞いても、たぶん分からない。
任せた瞬間、自分たちの事業から広告が切り離される。それが、外注の構造だった。
決めるべきは、誰が手を動かすかではない。
代理店に任せるかどうかは、本質的な問いではなかった。
本当に決めるべきは、自分たちが広告を理解するかどうか。どのキーワードで誰に届けたいのか。どんな言葉で自社を語るのか。それを、自分たちの言葉で言えるかどうか。
AIは、その構造を変えた。
広告文を書くのも、キーワードを選ぶのも、入札を調整するのも、すべて対話でできる。専門知識がなくても、考えたことをそのまま形にできる。代理店を挟まなくても、手を動かせるようになった。
外注するかどうかではなく、理解するかどうか。それが、分かれ目だと思う。
任せる前に、一度手を動かしてみる。
リスティング広告は、難しくない。難しく見えるのは、専門用語と管理画面の複雑さだけだ。
AIと一緒なら、その壁はほとんどなくなる。「こういう人に届けたい」と話せば、キーワード候補が出る。「こういう強みを伝えたい」と言えば、広告文のたたきができる。
一度でも自分で手を動かすと、代理店の提案書の意味が分かるようになる。何を任せて、何を自分たちで持つべきか。その線引きができるようになる。
任せるにしても、理解した上で任せる。それだけで、関係は変わる。